南小太郎山と栗原山(2009.04.23)
昨年の今頃、黒木に森に点在するアカの写真がHgさんの掲示板に投稿されました。撮影場所の記載はありませんでしたが、前後の文章から西上州神流川流域と判りました。その後、松浦隆康氏撮影の神流川支流、境沢川右岸からの写真を拝見し、ここにも黒木とアカが写っていました。ただ、この写真の後方には黒木のかたまりがあり、隣接する植林とアカ群落が部分的に混じっている可能性を感じました。
黒木にアカの混じる自然林を見たいと思いつつ、境沢川上流がそれなのか確証が得られないまま、一年が過ぎました。ところが、今月に入ってこのあたりを歩かれた方のブログに出合い、境沢川上流のアカに混じる黒木は自然林であると教えて頂きました。
23日木曜日はその境沢川上流を廻る尾根を歩き、天然のツガにアカの混じる深みのある風景を堪能してきました。また、出かける前はついでの感があった南小太郎山、歩いてみるとこれが西上州への見方を一変させる穏やかな良い山で、充実した一日を過ごすことが出来ました。
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神流川沿いの道を平原で北に折れ、境川左岸の狭くてでこぼこの車道を遡る。右岸に渡って神ヶ原からの道に合流する。こちらは舗装されて幅も広く、遠回りでも神ヶ原から入った方が良かったか。右に少し戻ってようらく橋に車を置く。
中里村の時代、この近くに夜叉の瓔珞(やしゃのようらく)という名所があったらしいが、神流町になって町の観光紹介から消えてしまった。でも、橋に名前を残すなら、具体的に何かがあったのかも知れない。
2.5万図にある右岸の破線路は一目でそれと判る林道跡で、まずは祠と1000mの岩峰を目指してこれに入る。植林の中をじぐざくに登っていくと右に小さな祠がある。が、天狗の面があるだけで荒れている。ここで林道は尾根を西に越えて行くようなので、尾根通しの踏み跡に入る。小さな岩場を越えると林道が戻ってきて、なんだそのまま林道を行けば良かった。
植林の中、林道を更に辿ると右に回りこんで小さな鞍部に出る。その右は岩峰で、それに登ると切れ落ちた境沢川両岸が一望できる。どうやら1000m岩峰のひとつ北、1030mの岩峰にいるようだ。
向かいの左岸、沢沿いは一部植林もあるが、そこから上、稜線までの斜面は黒木とアカ、それに雑木が混じった自然林で覆われている。局所的にアカの密度が非常に高い部分はあるが、全体として特に密度が高いわけではない。でも黒木に混じるアカは陰影に富み、緊迫した美しさを感じる。(冒頭の写真)
一方、手前の右岸はやや黒木が希薄で、ここならではの個性に乏しい。でも、左右に屹立する岩峰の絶壁がそれを補って、一流の景観を維持している。(右の写真)
夜叉の瓔珞が具体的な装飾品ではなく、この景色全体を指すのだとしても驚かない。
目的の大半を果たしたような気分で鞍部に戻る。ここで道は尾根通しとその右を巻く2本に分かれる。持倉越への古道を辿りたいので右に入るが、少し歩いてどうも違うと感じる。戻って尾根通しの道に入る。植林の中を暫く登ると林道末端に出る。左から緩やかに下ってくる林道を引き継いで、右に尾根を巻いていく踏み跡がある。これに入ってみるがやはり印象は芳しくない。
古道探しは時間の無駄と判断し、尾根通しに南小太郎山に向う。1150mあたりだろうか、植林が終わって雑木の緩斜面が現れる。尾根筋には足首ほどの笹が密生し、山腹は落ち葉が積もってフデリンドウやエイザンスミレが咲いている。穏やかで伸びやか、西上州にもこんな尾根があるんだ、と驚く。でも、考えてみれば西上州の山はいつもアカヤシオが目的で、だから岩場の山ばかり選んでいたのだと気がつく。我ながらあさはか、でも西上州の山への偏見が消えて嬉しい。
この穏やかな表情は南小太郎山の山頂まで続く。当然アカはないが、もう十分眺めた目にはそれを補って余りある。踏み跡も明瞭で道がはかどる。
あっさりと登り詰めた山頂には簡素な標識が一枚だけ、冬姿とは言え雑木に覆われて展望もさしてよくない。でも、しっかりと笹に覆れた山頂は山深さに満ちていて、好ましい。
山頂を後に南東に下る。1370m圏の小さな峰まで同じように穏やかな尾根を下り、ここから南に折れて急斜面に入る。笹の下生えは消え、立ち木に掴まりたくなるような傾斜だが、相変わらず雑木が美しい。
傾斜が緩み、下りきった鞍部からは岩が増えてツガとアカが現れる。抱えきれない太さの木も混じる見事な森だ。大木はツガだけでなく、ブナとしか思えない幹模様もある。
1210m峰からアセビの多い岩場を下って持倉越に到着する。看板が一枚あるだけで標識ひとつない。西への踏み跡も怪し気で、こちらから南小太郎山の南西尾根に向えば古道を辿れるかと考えていたが、その期待も消えていく。
栗原山に向かう。尾根は緩やかだが痩せていて、いかにもアカ好み、実際たくさん咲いている。でも黒木はやや少なくて、西斜面ほどの個性は感じられない。
なんて贅沢すぎることを考えていると、標高が上がって、花より蕾の方が多い木も現れる。1030m峰では落ちた花が多かったし、アカはその下にも咲いていた。上下の分布が長すぎて、栗原山の西面、上から下まで全て満開の日はないのだろう。でも4月上旬まで寒い日が続き、それから急に暖かくなればあり得るか。なんて、これまた贅沢なことを考えながら歩いていると栗原山頂上に到着。特別の印象はない、つまりは、ここまでと同様アカがたくさん咲いている。
持倉越に戻って西に向う。最初はほそぼそ続いていた踏み跡も、小さな山襞をひとつふたつ越えるころには途切れ入り乱れ、どれが古道やらさっぱり判らなくなる。
でも、もうそんなことはどうでも良くて、時折現れる岩場にはポツリポツリながらアカ、足元にはハシリドコロが群落をつくり、ヤマとジロボウのエンゴサク、コガネネコノメなどが点々と咲いている。見上げればヤマザクラ、更にその向こうには赤岩尾根らしき鋸のような稜線が望め、これが楽しくないわけがない。
そんな楽しい斜面を沢の横断と岩場に気を使いながら歩いていくと、やがて植林の斜面が見えてくる。その手前で南小太郎山南西尾根にかき登れば、行きに覚えある踏み跡に出る。植林の道をすたこら下って車に戻り、帰路についた。




















































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